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★ 読書会の記録 ★
2014年


「ムーミンパパ海へいく」
ダニエル・キイス/作
2014年12月19日
 思春期の子どものいる家庭のよう。思春期の子どもが成長して自立して、その頃、父親と母親もまた、今までの自分たちとは関係性も含めて変わる時期なのではないかと思います。

「アルジャーノンに花束を」
ダニエル・キイス/作
2014年11月14日
 チャーリーにとっては短い期間の出来事でしたが、人間の成長過程を表していると思いました。知らずにいた方が幸せだったか?という問いには、みんな、知ってつらい思いをしたとしても知った方がいいという意見でした。

「アンネ・フランクについて語るときに
                僕たちの語ること」

ネイサン・イングランダー/作
2014年10月10日
 敬虔なユダヤ教徒ということでなくても、規則をガチガチに守りその枠から外れることができず、人間性としてはちっとも成長できない状況はよくあります。そういう意味で、普遍的な作品だと思います。日本人はユダヤ人について無知だけれど、世界では常識なのかもしれないという話も出ました。

「エレンディラ」
ガルシア・マルケス/作
2014年9月19日
 思春期を越えるときは、祖母を殺すごとく強い意志がないとダメなのかもしれません。また、女性の抑圧というものも、これほど巨大なものなのだろうか。午前中の読書会の『3びきのくま』に通ずるところもあるなぁ。という話しで盛り上がりました。

「ノルウェイの森」
村上春樹/作
2014年8月29日
 レポーターは19歳。参加人数も夏休みで少なかったこともあり、いつも以上に突っ込んだ話しもできました。主人公の、いつも3人になる奇妙な関係性にも話しが弾みました。

「人間失格」
太宰治/作
2014年7月25日
 中学生、浪人生、大学生の参加もあり、なかなか刺激的な、贅沢な読書会となりました。この作品は好き嫌いが別れる作品だとは思いますが、それ以前にやっぱり読む年代によって受け取り方に違いがあるんだなぁということが実感できました。 どこまで共感できるかということを考えると、それは個々によるのですが、違っているとしても葉蔵により感情移入して読めるのは若い方々のようでした。若い人特有のまっすぐさと柔軟性が感じられて良かったと思います。

「亜美ちゃんは美人」(「かわいそうだね?」より)
綿矢りさ/作
2014年7月11日
 美人のさかきちゃんと、もっと美人の亜美ちゃんの心理に迫って意見交換をし、やはり読み解けてはいったのですが、どうしても最後までモヤモヤが残ってしまって、これは何だろう?ということになりました。 もやもやするのは、さかきちゃんがパートナーのことをそれほど好きじゃないように読めるところ。それから、自分の意志を通した亜美ちゃんも、彼のことをそれほど好きじゃないのかなぁと読めてしまうところ。それよりも、親しい人となんとなくおしゃべりしているときが幸せという亜美ちゃん。これは、彼のことではなく、女友達とのおしゃべりのことなんでしょうねぇ。 世代の違い?と考えるのはあまりに安易ですが、今日のメンバーの世代(40歳から50代くらいです)だと、もう少し男性に期待しているところがあったような気がして。綿矢氏が30歳だと考えると、やっぱり違うのかなぁ…と。 なんだか、午前中の読書会の『雪の女王』とも少々つながるような気がしました。

「まえのひ」
川上未映子/作
2014年6月6日
 生と死についての体験談から話し合いはスタートしました。読者一人ひとりにとっての、森とは?がけとは?まえのひ性とは?を考えることが深い意味での読書体験になるのでしょう。がけから飛び降りるたびに自分の世界が広がる快感について考えました。次々に現れるがけこそが人生そのものだというコメントに励まされました。

「次元」
アリス・マンロー/作
2014年5月9日
 殺した本人の父親が、子どもたちは別の次元で楽しそうに生活しているという話しだけをとれば怒りも感じますが、嫌いな人の次元を想像することができれば、その人を理解することができるかもしれません。不満も飲み込んでしまうような主体性のない主人公ですが、最後の「いいえ」の一言に、だめかもしれないけれど、もしかしたらこれからは主体性をもっていけるのではと思いました。

「限りなく透明に近いブルー」
村上龍/作
2014年4月11日
 読書会はちょっと難航しました。私たちが高校生の頃はお酒を飲むことにも社会がもっと寛大でしたが、今だと発売禁止になりそうという意見もありました。現代の感覚から遠すぎるのかもしれませんが、そこを越えられると時代にマッチしているような気がしました。リュウの心の傷つけられていることも実感できると思います。

「冥土めぐり」
鹿島田真希/作
2014年3月14日
 閉じた輪としての自分と身内の世界に、外部のものが入ってくるという感じに普遍性を感じた。メンバーのひとりがパートナーを異質なものとして選んだ自身の体験と重ねて読んでくれたのが考えるヒントになった。

「共同パティオ」 (「いちばんここに似合う人」より)
ミランダ・ジュライ/作
2014年2月14日
 頭の中の妄想をすべて書いてしまっている面白さ、リアルさ、異常さ。読書会ではいろいろな話になったが、なぜか元気付けられる。真面目でまっとうなヘレナに比べて、語り手の主人公が正直にめちゃくちゃな心情を語るところ、そういう自分の感じ方って大事だよね、という話になった。

「悪童日記」
アゴタ・クリストフ/作
2014年1月24日
 印象的だったのは80代男性メンバーの感想。ヨーロッパの人々がこうやって厳しい環境の中で自我を形成してきたのだと実感した。自分の甘さがわかった、と。



「三びきやぎのがらがらどん」
マーシャ・ブラウン/作
2014年12月19日
 トロルは自分の中にある恐怖心とかそういうものだったり、厳しい自然を表しているのかもしれないと思いました。それをやっつけるのは、子どもにとって勇気を持って立ち向かうことであり、読んでスッキリもするのだと思います。せたていじさんの訳も秀逸です。

「どろんここぶた」
アーノルド・ローベル/作
2014年11月14日
 母親というのは、つけたくもないリボンをつけさせたり、お気に入りのどろんこを片づけてしまったり、良かれと思ってよけいなことをするよね、と苦笑い。そういう親に子どもは反抗して、自立して大人になっていくのだなぁと思いました。

「小さなバイキングビッケ」
ルーネル・ヨンソン/作
2014年10月10日
 主人公は弱虫だけど知恵がある。お父さんは勇敢だけれどちょっと抜けている。お母さんはかしこくて、そんな二人を認めて愛している。クルーもくせがあるが、最初はビッケを弱虫と思っていてもだんだん認めていく。そんな人間関係や、ビッケの知恵によって切り抜けていく冒険にドキドキしながら、とても楽しく読めます。お父さんは、実はビッケのいいところを引き出している。日本の親はやりすぎちゃうが、人権を尊重しながら成長させるのがうまい、という話も出ました。

「3びきのくま」
トルストイ/作
2014年9月19日
 昔からある有名なお話なので、『3びきのくま』のお話には表現がいくつかあります。大人から見たらだから何?という感じに読めてしまいますが、名前を連呼するリズム感、五感を刺激する表現、ハラハラドキドキするおもしろさは感じたまんまに楽しめばいいと思います。また、危険を回避するためにはただひたすら逃げることも大事。お話の中には最後にくまと仲良くなるパターンもありますが、それはいかがなものかという話しにもなりました。

「雪の女王」
ハンス・C・アンデルセン/作
2014年7月11日
 みんなで色々話をして、何度も脱線したりしているうちにだんだんと物語が読み解けていって、「深いねぇ…」と唸ってしまいました。ディズニー映画『アナと雪の女王』と対比させて読んだのが思いのほか面白く、ひとつ言える大きな違いは、アンデルセンではゲルダとカイの純愛の物語なのに対して、ディズニーが姉妹愛というところ。今は、男性との恋愛よりもこちらのほうが受けるのでしょうか?

「ふたつの島」
イエルク・シュタイナー/作
2014年6月6日
 大きな島と小さいな島のどちらがいいというのではなく、それぞれの良いところをとって中庸がいいのではと思います。
 同じ作家の別の本も紹介され、「うさぎの島」が強烈で印象的でした。飼い慣らされたうさぎと捕らえられたばかりのうさぎが脱走するのですが、最後に食肉工場が快適な場所だと飼い慣らされたうさぎが戻っていくところが、リアルでいろいろなことにあてはめて考えられると思いました。

「はっぴぃさん」
あらいりょうじ/作
2014年5月9日
 視点をかえると、実は自分の短所が長所だということもあります。それを気づかせてくれる絵本ではないでしょうか。また、願いを叶えてもらおうとするには登ることも必要かも、と言う意見もありました。

「あおくんときいろちゃん」
レオ・レオニ/作
2014年4月11日
 あらためて色々なテーマで深く読める絵本だなぁと思いました。親子関係だけでなく、結婚や夫婦の問題や思春期などの話にもなりました。

「地獄」
白仁成昭/著 宮次男/著
2014年3月14日
 予定していた「ふたつの島」が手に入らず、メンバーが代わりに持ってきてくれた本が、少し前話題になった「地獄」。躾のためにこの本を使うことは賛成しかねるが、「郡延命寺秘蔵地獄絵巻」の絵は、子ども心に感じる何かがあるように思う。こういう絵本があることも大切なのでは。

「すてきな三にんぐみ」
トミー=アンゲラー/作
2014年2月14日
 孤児のティファニーちゃんを丁重に扱う三人組の様子に心温まった。でも、「子どもたちが怖がるから」と読み聞かせで採りあげようとして却下されたという話もあり、話題のドラマ「明日、ママがいない」と比較した話でも盛り上がった。

「かもめのジョナサン」
リチャード・バック/作
2014年1月24日
 パート1は思想を持って情熱を傾け努力している姿に共感できたが、その後は霊的な感じがしたという感想も多く、宗教観についての話にもなった。

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