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★ 読書会の記録 ★
2018年


「小犬を連れた奥さん」
アントン・P・チェーホフ/作
2018年12月21日
 ストレートな恋愛の話し。表現で、直接書かれてはいないけれど、この1行に何があったのかを想像させる(想像できる)ところも面白い。

「美しい星」
三島由紀夫/作
2018年11月30日
 作者は、自分を宇宙人だと思うほど他者との違いを感じ、人間に対して絶望していたのだろうか? 自決していることを知っているからか、重く、なかなか読み進められなかった人が多かった。

「路地の奥の家」
リービ英雄/作
2018年10月26日
 作者が安部公房の戯曲を翻訳する時に象は単数なのか複数なのかと問うところから、日本人と欧米人の感覚の違いについての話で盛り上がった。

「苦海浄土」
石牟礼道子/作
2018年9月21日
 当事者と距離のあるルポのようなものではなく、一度飲み込んで自分の言葉として発しているから、とても伝わる。差別心がない。情緒に作者自身が溺れていない。など、作者についての感想が多く、それ故に、メンバーの心情が伝わるような読書会でした。

「歯車」
芥川龍之介/作
2018年8月25日
 志賀直哉は自己肯定感が強く、そのまんまを書ける。普通はありのままを書こうとしても、どうしても、禁止が働いたりよく見せたりしてしまう。芥川は「羅生門」で自身の影(闇)と一体化できたのに、評価やまわりの言葉を気にしすぎて、影と融合できず、飲み込まれていってしまったのでは。という話に、他人事ではない怖さを感じました。

「忘れられた巨人」
カズオ・イシグロ/作
2018年7月27日
 「共同体の記憶」について描かれているということから、記憶操作についてなどの話、夫婦の記憶の違い、感じていることの違いなどの意見も出ました。「ザ・ギバー」「騎士団長殺し」を思い出したという意見も。

「和解」
志賀直哉/作
2018年6月22日
 志賀直哉の私小説は、主人公の名前が作者と違っていても、ベッタリくっついているよう。逆に、ここまで自分のことは書けない。自己肯定感がものすごく強い。など、人としてこうあれば…というヒントがあったよう。

「舞姫」
森鴎外/作
2018年5月25日
 男性がこうしたい、こうありたいという姿が描かれているから、男性にはウケているのかも。だから女性のことは(時代がそうだったというのもあるけれど)本来の姿というよりは、都合の良い展開で描かれている。主人公は何も自分で決められないヘタレ。エリスもお金が重要だった。など、男女の話でも盛り上がりました。

「蒲団」
田山花袋/作
2018年4月27日
 小説や主人公がどうしても受け入れられなかったという意見もありましたが、文学史や私小説、一人称や三人称についての話。わからないから女性については書かず、主人公を細かく書いたことで逆に女性が生き生きと描けたのかも、との話に感嘆。

「山月記」
中島敦/作
2018年3月16日
 高校の教科書に載っているだけあってその頃にちょうど向き合う事なのに、中高年の今、まさにそういう自分に向き合っていると意見が。また、中高年だから違う読み方ができ、虎を病気と読んだという意見もあり、納得。虎になることを老いることと重ね、避けられないならば、これからどう生きるかということも考えさせられました。
 <2018年3月24日 まちだ図書館まつりにて>  大学生や高校卒業したばかりの若者も参加してくれた読書会では、大学生の「自嘲は自虐のこと。他人にできないって批判されたくなくて、自分はもうこんなに下にいるんだからこれ以上何も言わないで、とガードしてるだけ」との意見に目から鱗。頼もしかったです。

「異端者の悲しみ」
谷崎潤一郎/作
2018年2月23日
 章三郎はめちゃくちゃなことをしているようだけれど実は真面目。自分で異端と思っているだけで異端ではなく、ただ他者との距離が遠いので、死の床につく妹や友人に対してもあんなこと(本を読んでね)を言えてしまうのでは。また、ヒーローになりたいとかじゃなく、あくまでも自分の気持ちに正直に作者は書いている。自叙伝としてはおもしろい、との意見も出ました。

「みずうみ」
川端康成/作
2018年1月26日
 新潮文庫の裏に「ストーカーを扱った異色の変態小説」というようなことが書かれていたが、若い頃はこういうもので、大人になって視界が広がってトランスフォーム(変体)する小説かと思った、という男性メンバーの意見。もしかしたら、宮子と老人の章は主人公の妄想なのかも、というおもしろい視点の意見も出て盛り上がりました。



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