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★ 読書会の記録 ★
2017年


「こちらあみ子」
今村夏子/作
2017年12月22日
 あみ子はずっと自分の外の世界と応答したいと思っているのに、できずに困っている。襖の隙間の狭い範囲が、外の世界を把握できる持って生まれた能力。など、主人公についての意見のほか、それぞれ登場人物の人物像を見ることで、また広く物語を把握することができました。

「来世」
アンソニー・ドーア/作
2017年11月24日
 「沼から戻る」を彷彿した。主人公の見る幻覚は 医師を救い、エスター自身も救い、挿絵画家として多くの子どもたちを救い、エスターが育てた子どもが人種の違う子ども、それも女の子を救い、孫は世界平和に貢献する論文を書いていて、11人の女の子の魂を救う。芸術とはそういうものという意見に納得しました。

「告白」
町田康/作
2017年10月27日
 「河内十人斬り」という実話を元にしたフィクション。作者は主人公の内面を描きつつ外側の視点も描いていて、自分をいつも甘やかして自分ルールで思考し続けるとどうなるか、という決して他人ごとじゃない内容になっている。物事を判断する時人は物語で考えるが、その物語が間違い(うそ)でできていたら、正しい判断は出来ない。という意見に納得するとともに驚愕しました。

「愛撫」
庄野潤三/作
2017年9月22日
 夫が妻の恋心などを根掘り葉掘り知りたがるのは、妻を丸ごと愛してるから。でも恋愛はヘタ。結婚が揺るぎないものと思っているようなのは、時代もあるかも。などの意見が出ました。

「馬」
小島信夫/作
2017年8月18日
 今号の冊子編集で村上春樹の「若い読者のための短編小説案内」も話題になり、その中で紹介されていた作品が面白いと、これまた話題になって取り上げられた作品がこれ。小島信夫の特徴のある文体で、”飛ぶ”感じがたしかに解りずらかったりするけれど、思考ってこんな風だよねという話になりました。そしてみんなが「わからない感じ」のところが、そういうことかぁと理解できる話も出ました。

「コンビニ人間」
村田沙耶香/作
2017年7月21日
 主人公は自分で意識してマニュアル的な行動をしているけれど、無意識にやってて気づいていない「こちら側の人」の方がヤバイよね、という話にもなりました。あちら側とこちら側の境界線、マニュアル的、障がいについてなどの話で、メンバーが同じような意見を言っているのにそれぞれ違った立ち位置からの見方をしていました。

「文章教室1」(「動物記」より)
高橋源一郎/作
2017年6月23日
 前の週にイベントの流動的読書会でやった梶井基次郎「檸檬」の絵的な作品と比べての感想、言葉についての意見などが出ました。

「沼から戻る」(「抒情文芸」第150号掲載作品)
武田祐子/作
2017年5月26日
 武田さんの朗読で始まり、朗読してもらったことでより物語に入り込むことができ、作品執筆のちょこっと裏話なども聞けて、贅沢な時間を共有しました。
   ***
4/28 どこでも読書会in古本屋カフェsunnydayring は、
7月発行の冊子21号に掲載される予定です。

「羅生門」
芥川龍之介/作
2017年4月21日
 高1の国語の教科書に載っているのは、主人公がちょうどその頃の年齢で、子どもの世界から大人の世界に変わる時期が描かれている。という話から、その頃自分たちはどうだったか、40代から50代になった頃も変化の時期ではないだろうか、などの話で盛り上がりました。

「記念」(「黄金の少年、エメラルドの少女」より)
イーユン・リー/作
2017年3月17日
 中国の社会情勢や日本との価値観の違いについて、作品中の視点が男性から女性に変化していく面白さや、男女のこと恋愛のことなど、話題は多岐にわたりました。

「静かな生活」
大江健三郎/作
2017年2月24日
 20歳の女性の視点で描いているのが面白い。障がいを持った子が産まれて、作家の人生も作品のテーマも変わってのではないか(転機だったのかも)という話もありました。

「ロミオとジュリエット」
シェイクスピア/作
2017年1月27日
 ジュリエットがまだ13歳だということにも注目。まだ分別するには子どもの年齢だけれど、恋をする時期でもある。だから行くところまで行ってしまった(死を選んだ)のではないか、という話題になりました。


「のぶみ作品」 2017年11月24日
 メンバーが持ち寄った作品の朗読。絵本作家になった経歴や読み聞かせしながら作品を作っていく過程、TVでも放送された話なども出ました。

「雪女」(「怪談」より)
ラフカディオ・ハーン/作
2017年10月27日
 雪女は自ら恋をしてやってきた。自主的に女性が行動する物語は、西洋人であるハーンが書いたからなのかもしれない。「つるの恩返し」と比べたり、翻訳者が違うと雪女が悲しんで去って行くように描かれていたり、日本人女性は、悲劇の女性であることを求められているのか? などの話で盛り上がりました。

「長谷川義史作品」 2017年9月22日
 メンバーが持ち寄った作品の紹介と、それを選んだ理由などをからめて話合いました。関西弁で描かれているので、読みにくく、読んであげたことがほとんどなかった。逆に関西弁だから面白く読める。などの意見もありました。

「くすのきしげのり作品」 2017年6月23日
 教育者や保護者の視点で読むと反省させられる作品が多く感動するが、子どもの読み物として見ると、道徳くさくて読んでいて苦しくなるという感想が多く出ました。

「きみの行く道」
ドクター・スース/作
2017年5月26日
 何でも出来る、何をしてもいいとエールを送る中、「待つ」ことには否定のメッセージが描かれています。受動的ではいけないと伝えているということで、特に恋愛は待つのはダメという話にもなりました。

「エリック・カール作品」 2017年4月21日
 「はらぺこあおむし」など物語性はあまりないけれど、本に穴があいていて読み聞かせている時に子どもが指を入れた、など、触覚でも伝わっているという話にもなり、小さい時に感性を育てるのが大事と改めて関心しました。

「さるかに」
松谷みよ子/再話
2017年3月17日
 3月末の図書館まつりで昔話の「さるかに」を取り上げることから、絵本を参考にして、一足先に物語について話合いました。敵討ちについて、差別について、人に寄り添うことについてなど、改めて、伝承されているお話の奥深さを感じました。

「島ひきおに」
山下明生/作
2017年2月24日
 異質な者を受け入れないところが日本人にはある。鬼というのは何なのだろう?というような話にもなりました。

「はっぴぃさん」
荒井良二/作
2017年1月27日
 どこかで戦争をしていたりもする(戦車が描かれている)。そのような状況でも、幸せを感じることが生きることなのでは。子どもの本では珍しいという話も出ました。

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