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★ 読書会の記録 ★
2015年


「神様」「神様2011
川上弘美/作
2015年12月18日
 くまの引っ越し挨拶の『引っ越しそばとハガキ10枚』、ハガキを渡す習慣があるの?となりましたが、メンバーが町田に引っ越してきた時に、町田市のごみ袋とチョコを配ったという話を聞き、なるほど、必要(合理的)な物とちょっとした嬉しいもの(気持ちのこもったもの)という、さりげない気遣いに納得でした。

「乳と卵」
川上未映子/作
2015年11月20日
 参加者が全員女性だったので、自身の初潮を迎えた時はどうだったか、「女性とは」について話が盛り上がりました。「わたし」の視点で描かれていることで小説が活きてるなぁという印象も。

「青い麦」
コレット/作
2015年10月23日
 若い恋人同士が結ばれるところに焦点がいって読んでいると、最後の文章に打撃を受ける。当時のフランス事情、女性のことを赤裸々に描いていること、女性作家なのに男性の心理もよくわかっていることなど、感心することばかりでした。

「優しいサヨクのための嬉遊曲」
島田雅彦/作
2015年9月25日
 学生運動もファッションのようなどこか軽くて距離のある感じは、作者と同世代〜ちょっと下の世代のメンバーの大学もそんな感じだったという話にもなりました。団地の感じが、午前中の読書会(「うみをあげるよ」)とも時代背景が似ているねという話にもなりました。

「第七官界彷徨」
尾崎翠/作
2015年8月28日
 古い作品なのに新しいと感じた。『隙間』の何かを伝えようとしている。詩を小説で書いたよう。など、第七官を刺激されたような感がした読書会でした。

「トカトントン」
太宰治/作
2015年7月17日
 何事も一生懸命やっていると、トカトントンと聞こえてやる気をなくしてしまって困っている、と、ある文豪に手紙を送るお話です。読書会では、最後の一文について、トカトントンが聞こえるときはどういう時か?、など話し合いました。

「沈黙」(「レキシントンの幽霊」より)
村上春樹/作
2015年6月26日
 男性が、高校時代にいじめられ、いじめの張本人より、流されて沈黙している傍観者たちに恐怖するという話を語ります。傍観者について、この話をボクに話したのはどういう心境からか、どうすればよかったか、などについて話し合いました。

「夢十夜」
夏目漱石/作
2015年5月29日
 第一夜は死んでいくのが女、第十夜は死んでいくのが男で、物語が対になっていると思う。第九夜の「戦争前夜のざわついた世相の中〜」が、今の世の中のように想える。という話が出ました。

「侍女の物語」
マーガレット・アトウッド/作
2015年4月17日
 フィクションとは思えない世界観に狭苦しさを感じて読み進めると、最後はアッと言わせる展開に。途中途中の「夜」によって物語が進む。その置き方をかえたら物語が変わってくるかもという面白さも共有しました。

「月の部屋で会いましょう」
「僕らが天王星に着く頃」
(「月の部屋で会いましょう」より)
レイ・ヴクサヴィッチ/作
2015年3月20日
 最初に掲載されている「僕らが天王星に着く頃」と最後に掲載されている「月の部屋で会いましょう」の登場人物は同じようなタイプ。どちらも、『女性と価値観が違っていて出ていく女性において行かれる男性』が描かれていて、先の「僕ら〜」は別れて終わりますが、「月の〜」では、最後男性が二人の人生について悟って終わります。奇抜な内容でそのまま読むだけでもおもしろいですが、なるほどなぁと思いました。

「鏡」
(「カンガルー日和」より)
「七番目の男」
(「レキシントンの幽霊」より)
「窓」
(「象の消滅」より)
村上春樹/作
2015年2月20日
 「鏡」主人公が自分自身をここまで憎むのはどうしてだろう?恐怖と対峙せずににげていると思う。自己肯定ができていないのでは。という意見が多く出ました。
「七番目の男」鏡の主人公は自分だから乗り越えられず、七番目の男の主人公はKくんという自分と違う相手だから恐怖を乗り越えられたのか?ものすごい時間がかかっても、気が付けてよかった。などの意見が出ました。
「窓」カンガルー日和に載っている「バート・バカラックはお好き?」より洗練されていて、表現したいことがよくわかった。窓が開いていたのに、ひとつのチャンスを逃した。などの意見が出ました。

「オメラスから歩み去る人々」
(「風の十二方位」より)
アーシュラ・K・ル・グィン/作
2015年1月23日
 どんなに幸せで安心・安全な世界であっても、誰かの犠牲の上に成り立っているのであれば、それは本当に幸せといえるのでしょうか? オメラスから歩み去る人々の気持ち、自分なら歩み去るだろうか、それともオメラスで幸せだと思うだろうか、他にできることがあるのではないだろうか、本当に犠牲の上でないと成り立たない幸せなのだろうかなど、いろいろ考えさせられました。



「賢者の贈り物」
オー・ヘンリー/作
2015年12月18日
 自分の大切なものを手放してでも愛する人にプレゼントをあげたいという気持ちに感動した、という感想あり。でも、本当に愛してるなら相手も大切に思っているものを手放すようなことをするだろうか、という意見あり。鎖や髪飾りなんかより、オーバーや手袋のような必需品のほうがいい、という意見あり。もらったもので嬉しかったのは、高価なものより気持ちのこもったものという意見が多く、あげたいものを贈るのがいいのか、ほしいものを贈るのがいいのかという話でも盛り上がりました。

「落語絵本 しにがみさん」
野村たかあき/作・絵
「シニガミさん」
宮西達也/作・絵
2015年11月20日
 落語絵本の死神は黒子のように描かれ、シニガミさんでは木や葉っぱというように、どちらも身近で決して忌み嫌うものではないのだなというのが参加者の印象でした。また、西洋の死神との印象の違いや、ろうそくは命を思わせるというような意見でも盛り上がりました。

「浦島太郎」「桃太郎」「金太郎」
昔話
2015年10月23日
 浦島太郎や桃太郎は、誰もが知っているお話なのに、細部の描き方や記憶が様々だけれど、金太郎はある人物を賞賛するのが目的のお話だから、歌詞同様のものしかありませんでした。また、「鬼とは」という話も出ました。

「うみをあげるよ」
山下明生/作 村上勉/絵
2015年9月25日
 自分の視点で見ているときは大切なタオルだったものが、カエルの視点で見ることができたとき、子どもの世界も広がって成長できる。そうして子どもは成長していくんだなぁと思いをはせつつ、大人も固執しているときには見えなかったものが、視点を変えることで見えるってことはあるよね、という話になりました。村上勉の絵というのは同じなのに2種類の絵本があり、絵から時代も感じられておもしろかったです。

「くまの子ウーフ」
神沢利子/作
2015年8月28日
 「貫禄」とか子どもが意味がわからない言葉を想像させるところもいい。途中で終わっているのも子どもにその続きを考えさせているよう。など、説教臭くなく、子どもが自我について考えさせるような内容でいいという意見が出ました。

「カイロ団長」
宮沢賢治/作
2015年7月17日
 30匹のアマガエルがトノサマガエルにこき使われる話です。日本人的。両者の仲介者が登場するのだが、この仕方ではアマガエルもトノサマガエルも考えることをしていないのでは、という話になりました。

「軽いお姫さま」
ジョージ・マクドナルド/作
2015年6月26日
 魔法で重さを失ってしまったお姫さまは心の重さも無いので、悲しんでいる人に大笑いしてしまったりします。王子さまが登場して重さを持ち、めでたしめでたしと言ってしまうとよくあるファンタジーのようですが、そんな単純ではないお話に盛り上がりました。

「パイプ」
エトガル・ケレット/作
2015年5月29日
 ケレットが兵役中に書いた小説です。朗読してもらうとまた違った味わいがあって良いものでした。でも読書会では、小説の内容よりも、兵役中に書いたということから、死や考え方などの話が盛り上がりました。

「綱渡りの男」
モーディカイ・ガースティン/作
2015年4月17日
 9.11後に描かれた作品で、9.11を知っている大人は郷愁のようなものも感じて読むが、子どもは単純に綱渡りのドキドキ感を楽しみながら読めるようです。危険な行為であるけれど、自分が得意なことなら極めたいと思うのは常なのでは。また、チームを組むほどのことだから、男は魅力的な人なのだと思うという意見がありました。

「赤ずきんちゃん」
シャルル・ペロー/作
2015年2月20日
 先月の「三びきのこぶた」同様、いろんなバージョンのお話がある。ペローのは、女の子に向けた教訓。赤ずきんちゃんが食べられてしまって終わるストーリーで、怖いということを知らせることも大事。ただ、読む内容は子どもの年齢によって少しずつ怖くなるほうがいい。という意見が出ました。

「三びきのこぶた」
イギリス昔話
2015年1月23日
 記憶にあったのは、オオカミが煙突から降りた時に熱湯に入り、逃げて行って「めでたしめでたし」。でも図書館にある絵本は、ほとんど、お兄さん豚も食べられちゃうし最後オオカミも弟豚に食べられちゃうストーリー。オオカミと豚が仲良くなるシーンで終わる絵本もあるようですが、語り継がれている昔話には深い意味があると思うので、残酷だからと隠すのではなく、その意味を考えることも大切だと思います。

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